【1月11日は塩の日】欠かせない栄養源「塩」の種類と作り方

【1月11日は塩の日】欠かせない栄養源「塩」の種類と作り方

塩と聞くとどんなイメージを持つでしょうか?料理をおいしくするというイメージを持つ方もいれば、摂りすぎると血圧を高くしてしまうと考える方もいますよね。今回、私たちの日常に欠かせない塩の種類と働きについて、管理栄養士が解説します。

2021年01月11日

塩は欠かせない栄養源

私たちの身体には、一定の塩分が存在します。その塩分によって、消化吸収を助けたり、細胞を正常に保ったり、脳からの指令を手や足に伝えたり、その逆の働きを行ったりしており、私たちにとって欠かせないものです。そのため、昔から塩は貴重な存在でした。 1月11日は、戦国時代に今川氏との同盟を破棄した武田信玄に対して、怒った今川氏が北条氏とともに、武田側の塩の流通を止め、武田側の領民が塩を摂ることができずに困っていたところ、長年敵対関係にあった上杉謙信から越後の塩が送られたとされています。 このことを記念して塩市(現在のあめ市)が開かれるようになり、この故事に由来して「塩の日」が設けられました。

塩は海水からとる?地層からとる?

さて、調味料として使う塩は天日塩や岩塩などがあります。日本で塩と言えば、海水から取り出す方法が定番ですが、世界でとれる2/3は地層からとったものです。

海水からとれる塩

雨が少ない地域では、海水を塩田に引き込み、太陽と風の力で海水を自然蒸発させ、濃縮させています。フランスの「ゲランドの塩」などがこの製法で作られています。日本は岩塩層もなく、湿度が高く降水量も多いため、海水を釜で加熱して作る「食卓塩」や「あらしお」などがあります。現在では、日本でもさまざまな方法で塩作りが行われています。

岩石からとれる塩

海からとる塩に対して、世界の多くでは岩塩層から採っています。これは昔、海だった場所が地殻変動によって陸に閉じ込められ、水分が蒸発して地層の塩分が結晶化し、その上に土砂が堆積されてできたと考えられています。 ひと言に岩塩といっても、製法は2つあります。1つは岩塩鉱に水を注ぎ、濃い塩水にしてから釜で煮詰める方法です。アメリカの「モートンソルト」などが、この製法で作られています。そして、もう一つは岩石から掘りだして砕く方法で、「アンデスの塩」などがこの製法で作られています。

岩塩の色の秘密

岩塩には、桃色のものや赤色のもの、橙色のものなど、さまざまな色のものがあります。岩塩は地中で結晶化するなかで、さまざまな不純物をとりこむことが多く、その影響で色がつくとされています。たとえば、桃色ものや橙色のものには塩化カリウムが含まれており、このことから岩塩はミネラルが豊富とされています。

いろんなところで使われている「塩」

塩は日常のさまざまなところで使われています。料理以外にも、医療用の生理食塩水やリンゲル液などの原料であったり、道路の凍結防止、皮の保存やなめしに使われたり、家畜用のえさとしても使われています。さらに、工業用として、ホーロー製品や紙、レーヨン、アルミ、ガラス製品を作る過程でも幅広く使われています。

塩は料理のおいしさアップに欠かせない

塩の使い方として一番に思い浮かぶのは、味付け用ではないでしょうか。私たちは塩に対して敏感でほんのわずかでも多いとしょっぱく感じ、少なすぎると物足りなく感じてしまいます。 その他にも、スイカに塩を振ると甘いと感じるように、甘いものに塩を少し加えることで、甘さを強める働きがあります。さらに、酢の物など酸っぱいものに塩を加えると酸味を抑える働きもあります。 【毎月17日は減塩の日】減塩のメリットと実践するときのポイントとは?

料理に欠かせない「塩」

塩は調味料以外にも料理の中で欠かせない存在です。野菜などを塩漬けにすることで余分な水分を抜き、腐ることを抑える働きがあります。少量の塩を使って野菜の水分を抜くにも最適です。 そして、小麦粉に塩水を加えてこねることで、パンを膨らませたり、うどんのコシをだすグルテンというたんぱく質を作りやすくします。さらに、魚や肉のたんぱく質を水に溶けやすくし、粘り気や弾力を持たせるため、かまぼこやハムなどを作る時に欠かせません。 【筋や皮もスゴイ!】冬の果物「みかん」に隠されたダイエットパワーって?

まとめ

私たちが身近に使っている調味料である塩は、地域や職人の技によって味が大きく変わります。摂りすぎには気をつけながら、お料理に合わせて塩を選んでみてはいかがでしょうか。 【参考文献】 ・総務省統計局/なるほど統計学園/今日は何の日?/1月11日 塩の日 (https://www.stat.go.jp/naruhodo/c3d0111.html)閲覧日:2020年11月23日 ・公益財団法人塩事業センター/塩百科/塩の用途(https://www.shiojigyo.com/siohyakka/useto/)閲覧日:2020年11月23日 ・公益財団法人塩事業センター/塩百科/塩のつくり方/岩塩(https://www.shiojigyo.com/siohyakka/made/rock.html)閲覧日:2020年11月23日 ・Newton別冊食品の科学知識第3版/3調味料の“?” /塩

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著者

酒井 葉子(管理栄養士、東京糖尿病療養指導士)

幼少期にアトピー性皮膚炎で悩み、身体の内側から見直す必要性を感じて管理栄養士に。 大学卒業後は、給食管理業務や医療機関での栄養指導に携わり、現在は保健指導やコラムの執筆に従事。食を通して、充実した毎日のサポートを行ってまいります。


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