【管理栄養士が解説】妊娠前から意識したい食事ポイントとは?
お腹の赤ちゃんの体や、赤ちゃんが飲む母乳は、お母さんの食べた食事の栄養を元につくられます。そのため、妊娠中や授乳中は、栄養バランスのよい食事を摂ることが大切です。また元気な赤ちゃんを生むためには、妊娠してからだけでなく、妊娠前からの食生活も重要とされています。今回は、妊娠前や妊産婦の食事のポイントについて解説していきます。
2023年08月26日
なぜ妊娠前からの食生活が大切なの?
自分の体を知って食生活を整えよう
現在の日本の女性は、体重を減らしたいと思っている人や、低体重(やせ)の人の割合が、目標値よりも高いという調査結果が出ています。肥満も問題視されていますが、適正な体重よりもやせ過ぎてしまうと、不妊の原因ともなる排卵障害や早期の閉経、将来の骨粗鬆症などのリスクが高まる可能性があるとされています。自分の今の体格を知り、妊娠中の適正な体重増加について、正しい知識を身に付けましょう。 【BMIの計算方法】 体重(kg)÷身長(ⅿ)÷身長(m)=BMI 例:体重50㎏、身長160cmの場合のBMIは、19.5
妊娠前から生活習慣を整えよう
妊娠中や授乳中は、赤ちゃんの成長のためにも、栄養バランスの摂れた食事が重要です。この期間に十分な栄養が摂れなければ、赤ちゃんの栄養不足や、出生体重が2500g未満の低出生体重児となるリスクが高まる可能性もあるとされています。 とはいえ、妊娠してから急に食生活を整えようとしても、生活習慣をすぐに変えるのはなかなか難しい場合もあるかもしれません。そのためにも、妊娠前から食生活や生活習慣を整えることが大切です。
具体的な食事のポイント
バランスのよい食事とは?
1食あたりの栄養バランスのよい食事の目安は、主食(ご飯・麺・パンなど)、主菜(肉・魚・大豆製品など)、副菜(野菜・きのこ・海藻類など)の3つを組み合わせた食事です。肉は豚肉・牛肉・鶏肉、魚はサケ・アジ・イワシなど、毎日様々な種類の食材を取り入れることで、さらに栄養バランスを整えやすくなります。 特に妊娠中や授乳中は、妊娠前よりも必要なカロリーが増えるため、妊娠前からバランスのよい食事の基礎を身に付けていきたいですね。
葉酸が不足しないために
葉酸は妊娠中や授乳中にとても重要なビタミンで、特にお腹の赤ちゃんの発育に関与しています。 赤ちゃんの神経管は、妊娠が分かるよりも前からつくられます。妊娠前から十分に葉酸を摂取することで、脳や脊髄の発達異常である「神経管閉鎖障害」のリスクを減らすことができるとされています。葉酸が豊富に含まれる緑黄色野菜や海藻類などを取り入れ、妊娠前から葉酸が不足しないよう意識しましょう。
鉄分で貧血予防
月経のある女性の鉄分摂取の推奨量は、20代・30代共に10.5mg/日です。妊娠中期から後期になると、鉄分摂取量を16.0mg/日へ、さらに増やす必要があるとされています。しかし、令和元年国民健康・栄養調査によると、日本人の平均的な鉄分摂取量は、20代、30代共に6.8mg/日と推奨量よりも少なくなっています。 妊娠中は妊娠前よりも血液量が増えたり、赤ちゃんの成長に必要な鉄分が吸収されます。また、授乳中は母乳へ鉄分が移行することなどによって貧血になりやすくなります。妊娠前からレバーや小松菜、ひじきなどの鉄分が豊富な食品を積極的取り入れ、妊娠中に必要な鉄分を摂取できるよう意識していきたいですね。
カルシウムも十分に
妊娠中のカルシウムの摂取量は、普段から不足なく摂取できていれば基本的に増やす必要はないとされています。しかし、令和元年国民健康・栄養調査によると、日本人の平均的なカルシウム摂取量は推奨量の650mg/日よりも少なく、20代で435mg/日、30代で401mg/日となっています。 妊娠中は胎児の体をつくったり、産後に授乳したりすることによって、母体からカルシウムが失われます。カルシウムは赤ちゃんの骨をつくるためにも必要不可欠なため、妊娠前からカルシウムを積極的に取り入れる習慣を付けることが大切です。乳製品や小魚、緑黄色野菜、豆類などのカルシウムの多い食品を意識して取り入れましょう。
気を付けたい食品
レバー
レバーは鉄分も豊富で貧血予防にもおすすめしたい食材ですが、ビタミンAが多く含まれています。このビタミンAを過剰摂取することにより、先天性奇形が増加するという報告があります。妊娠を計画している方だけでなく、妊娠3ヶ月以内の方は、大量の摂取は避けましょう。
まとめ
妊娠前からの食生活を整えて健康的な体づくりをすることで、妊娠中や授乳中にも適切な食生活を送りやすくなりますね。 また、食生活以外にもウォーキングなどで無理なく体を動かしたり、お酒やタバコの害から赤ちゃんを守ったりと、生活環境を整えることも重要です。 妊娠中や産後は、体の変化や生活リズムの変化などもあり、心身共に不安定になりやすくなっています。周りの方と協力して、お母さんと赤ちゃんがゆとりをもって生活できる環境をつくっていきたいですね。 【出典】 ・令和元年国民健康・栄養調査報告/厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000711006.pdf 閲覧日:2021年5月15日 ・健康長寿ネット/葉酸の働きと1日の摂取量 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-yousan-biotin.html 閲覧日:2021年5月15日 ・これからママになるあなたへ/厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/051102-2a.pdf 閲覧日:2021年5月15日 ・妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針/厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf 閲覧日:2021年5月15日
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著者
高橋 みゆき(管理栄養士)
管理栄養士。大学で栄養学を学び、パーソナルトレーニングジムでのトレーニング・食事指導、ダイエットアプリでの食事アドバイス業務に携わり、現在では「食・栄養」をテーマにしたコラムも執筆。自身も25㎏のダイエット経験があり、ひとりひとりの性格や生活習慣に合わせ、継続しやすい減量方法・生活習慣改善方法を提案している。