【この違い知ってる?】「料理酒」と「清酒」の特徴を知って料理をもっとおいしくしよう!
スーパーに行くと見かける料理酒。買うときに料理酒にするか、清酒にするか迷っちゃいますよね。今回は、意外と知られていない料理酒と清酒の違いを解説します。それぞれの特徴を知って使いこなせば、料理がもっとおいしくなりますよ。
2020年07月07日
そもそも、料理に酒を使うメリットは?
酒は料理に欠かせない存在
レシピを見ると「酒」とよく書いてありますが、そもそもなぜ、料理に酒を使うのかご存知ですか?意外と知られていないのですが、酒を使うことのメリットはたくさんあります。料理酒と清酒の違いを知る前に、まずは料理に酒を使うことのメリットを知りましょう。
生臭さを軽減する
酒に含まれるアルコールは揮発性のため、蒸発するときに、魚の生臭さなどの臭いの原因物質も一緒に揮発してくれます。また、酒のよい香りが加わることで、臭いをマスキングしてくれる効果も。もちろん、魚だけでなく肉の臭み軽減効果もあります。
食材を柔らかく仕上げる
食材が固くなる原因は、火を加えることで食材から水分が流出してしまうからです。酒を使うことで、食材が水を保つ力(保水性)が上がり、柔らかくふっくらと仕上がります。また、保水性が上がることで、食材からの旨味の流出が抑えられるので、おいしさもアップします。
味の浸透が早くなる
酒を入れることで、他の調味料が食材に染み込むのを早くする効果があります。その他にも、アルコールには煮崩れを防止する効果もあります。
料理酒と清酒の違いは?
塩が入っているのが料理酒
酒を料理に使うことのメリットを知ったら、次は料理酒と清酒の違いを見ていきましょう。 清酒とは、酒税法で「米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの」と定義されています。一方で料理酒は、清酒に3%程度と海水と同じ位の塩が添加されたものです。清酒は飲むことが目的に作られていますが、料理酒は塩を添加しているため、飲むことには適していないため、醸造調味料に分類されます。 いつも料理に使っている酒の原材料欄を見て、食塩と書いてあった場合は料理酒です。
雑味と酸味を残すことで料理がおいしくなる
清酒は、使用するお米の周りをある程度削って、雑味や酸味をなくし、飲みやすくなるようにしています。しかし、料理においては、雑味や酸味があることで味わいが深まります。そのため、清酒に比べて料理酒を使うと、コクと旨味が強くなります。
料理酒は酒税法適応外
清酒は酒税法で課税対象となっていますが、料理酒は醸造調味料に分類されるため、課税対象外です。そのため、清酒に比べて料理酒は安く購入できます。また、料理酒はお酒ではないため、酒類販売免許を持たないお店でも販売することができます。
最近よく見かける「料理用清酒」とは?
清酒のなかでも料理に特化している
料理用清酒というものを、最近スーパーでよく見かけますよね。これは料理酒とは違い、塩が添加されていませんので、酒税法上では課税対象となります。分類上では酒となりますが、料理用清酒は料理をおいしく仕上がるように、製造会社が様々な工夫をして製造しています。 また、スーパーなどでは、料理酒は調味料コーナー、料理用清酒はお酒が売っているコーナーと、置いてあるところが違う場合があります。
料理には「清酒」と「料理酒」どちらを使う?
レシピの酒は一般的には「清酒」
一般的に、レシピに「酒」と書かれている場合は、清酒のことを言う場合が多いです。清酒は塩分が入っていませんので、料理酒を使った場合は他の調味料を同じ配合で入れると、味が変わってしまうことがあります。 【初心者さんにおすすめ】料理上達のためのポイントを管理栄養士が教えます!
料理酒を使う時は他の調味料の量を調整する
料理酒大さじ1杯(18g)の塩分量は約0.3gです。しょうゆ、味噌だと小さじ1/2弱、塩の場合は少々と記載されている場合とほぼ同じ塩分量です。 単純に、同じ塩分量だけ他の調味料を減らせられれば良いのですが、商品によっては、料理にコクや旨味をつけるために水あめや、酸味料などを加えているものがあります。そのため、料理酒を使う場合は、レシピに記載されている調味料を全て入れずに、味を見ながら調整していくと良いでしょう。 【脇役なんて言わせない!】きゅうりを丸ごと楽しむレシピ5選
まとめ
それぞれ特徴が違うからこそ、使い分けよう
料理酒は、塩分が入っている、雑味と酸味の残っている、酒税がかからないため価格が安い、といった点が清酒との違いです。塩分が気になるという人は、塩分が添加されていない料理用清酒が向いています。 しかし、魚に料理酒をかけて蒸し焼きにするなど、料理酒に入っている塩分を活用すれば、味付けせずに料理が作れるという点はメリットですよね。それぞれ特徴が違いますので、これが良いとは一概に言えません。自分に合った料理用の酒を探してみたり、料理に合わせて使い分けてみてはいかがでしょうか。 【参照】 国税庁「酒税法における「清酒」の定義」 (https://www.nta.go.jp/about/council/sake-bunkakai/021127/shiryo/07a.htm) ※閲覧日:2020年5月24日 川辺達也,酒類調味料の調理効果について,日本醸造協会誌,2007,102(6),p.422-431 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/102/6/102_6_422/_pdf/-char/en) ※閲覧日:2020年5月24日
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著者
河村 桃子(管理栄養士)
管理栄養士として病院やクックチル(食材を調理加熱したあとに急速に低温冷却しチルドの状態で管理する調理法)のコンサルティング、栄養専門学校講師の業務に携わる。現在はフリーランスの管理栄養士として、「今日の食事で明日の自分は変わる」をモットーに、コラム執筆や特定保健指導、レシピ提案、食事講座など働く大人の食事サポートを行っている。