【最新文献から学ぶ!】葉物野菜で筋力アップ?
肉類、魚介類、大豆製品などに多く含まれるたんぱく質は筋肉を作る上で大切な栄養素です。その他にも葉物野菜に含まれる硝酸塩が筋肉機能の向上に関連しているといった研究報告が発表されました。今回、オーストラリアで発表された研究結果を説明するとともに、野菜に含まれる硝酸塩が私達に与える影響について解説したいと思います。
2021年06月23日
最新文献を要約
研究方法とは?
12年間にわたってメルボルンのベイカー心臓糖尿病研究所で行われたAusDiab (Australian Diabetes, Obesity and Lifestyle Study) の研究に参加した、3,759人の豪州人のデータが使われました。
研究結果は?
「通常の硝酸塩摂取量が最も多い人は、硝酸塩摂取量が最も少ない人に比べて、下肢筋力が11%強いことを発見した」と示しました。 さらに、「硝酸塩が豊富な野菜を多く含む食事は、身体活動とは関係なく、筋力を強化する可能性があることが示唆されている」と結論付けました。 つまり、野菜に含まれる硝酸塩が、筋力アップに関連しているかもしれないという研究結果となったのです。
野菜を食べると筋力アップ…?
とは言っても、硝酸塩をサプリメンなどで多く摂取すればよいわけではありません。硝酸塩は私達の身体に対して、益と害の二面性をもっていると言われています。 次の章で、詳しく説明していきます。
野菜に含まれる硝酸塩について
硝酸塩とは?
硝酸塩は、土壌を含む自然界に広く分布しています。植物は、窒素を硝酸塩やアンモニウム塩の形で根から吸収し、これと炭水化物からアミノ酸やたんぱく質を合成します。 その際に、吸収される硝酸塩などの量が多すぎたり、日光が十分に当たらなかったりすると、吸収された硝酸塩などがアミノ酸、たんぱく質に合成されないで、植物体中に貯蓄すると言われています。
硝酸塩の害となる部分とは?
硝酸塩は、野菜などで摂取する程度では、特に有害なものではないと考えられています。しかし、硝酸塩が体内で還元され亜硝酸塩に変化すると、 発ガン性物質であるニトロソ化合物の生成に関与するおそれがある、ということが一部で指摘されています。 しかし、生体内における硝酸塩から亜硝酸塩への転換のメカニズムは複雑なため、食物由来の硝酸塩のうち、どのくらいの量が亜硝酸塩に転換するのかは、はっきりとしていません。
硝酸塩の益となる部分とは?
硝酸塩や亜硝酸塩は、一酸化炭素が生成される前の段階にある物質として知られています。一酸化酸素は、生体内で酵素的に合成され、血圧制御、平滑筋弛緩などのさまざまな生理機能を担っていると考えられています。 そのため、硝酸塩を摂取することは、私達の身体に良い影響を与える可能性があると言えます。
まとめ
葉物野菜の摂取を毎日意識しよう
今回、オーストラリアで発表された最新文献を紹介しつつ、葉物野菜に含まれる硝酸塩について詳しく解説しました。野菜に含まれる硝酸塩は、賛否両論があるものの、現段階では、身体に良い影響を与える可能性の方が大きいと考えられています。 筋力アップを意識する方は、今回の結果を参考に、葉物野菜の摂取を意識してみてはいかがでしょうか。 【参考文献】 「筋力に欠かせない緑の葉物野菜?」(国立健康・栄養研究所) https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=74668&-lay=lay&-Find.html (アクセス日:2021年4月6日) 「野菜等の硝酸塩に関する情報」(農林水産省) https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/syosanen/ (アクセス日:2021年4月17日)
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著者
ウィリアムズ 早苗(管理栄養士)
大学卒業後、食品会社にてメニュー開発を経験。現在はオンラインでの栄養指導や、メディアでの執筆をしています。私たちが抱えている、食や健康に関しての問題点に注目し、それに向けての解決策の糸口となるようなお手伝いが出来る事をモットーにしています。