【研究結果を読み解く】植物性たんぱく質を多く摂取すると死亡リスクが減る?

【研究結果を読み解く】植物性たんぱく質を多く摂取すると死亡リスクが減る?

米国アイオワ大学などの研究によると、『植物性たんぱく質を摂取した閉経後の女性は、そうでなかった女性に比べて、早死、心血管系疾患、認知症関連死のリスクが低かった』という結果がでたそうです。今回は、この研究の内容や結果の詳細について詳しく見てみましょう。

2021年05月09日

どんな研究が行われた?

対象者と方法

研究の対象者は、1993年から1998年に全米規模の研究に参加した、10万人以上の閉経後の女性(50歳から79歳)です。アンケートにて、さまざまな種類のたんぱく質の中から何をどれくらいの頻度で食べたかを回答しました。 研究者は、その結果からたんぱく質の種類に着目して、各たんぱく質を最も多く食べた人と最も少なく食べた人にグループ分けをして比較しました。研究期間中に、「心血管疾患」「癌」「認知症」により、合計25,976人の死亡が発生したそうです。

研究結果を見てみよう

閉経後女性の健康と植物性たんぱく質摂取の関連性は?

研究データの解析の結果、閉経後の女性において、植物性たんぱく質の摂取量が最高だった人は、最低だった人に比べて全死因による死亡のリスクが9%低いということが明らかになったそうです。さらに、心血管系疾患による死亡リスクは12%、認知症関連の死亡リクスでは21%、同様に低かったそうです。

他のたんぱく質との関連性は?

他にも、加工された赤身の肉(ハム、ベーコン、ソーセージなど)の摂取量が多いと、認知症による死亡リスクが20%高いことも明らかになりました。また、非加工肉、卵、乳製品の摂取量が多いことは、心血管系疾患による死亡リスクが順に12%、24%、11%高いこととも関連していたそうです。

動物性たんぱく質を植物性たんぱく質に置き換えると死亡リスクが減る?

さらに、赤身の肉、卵、乳製品などの動物性たんぱく質をナッツに置き換えると、置き換える前の動物性たんぱく質の種類に関わらずすべての原因による死亡のリスクが12%から47%低くなったこともわかったそうです。 【女性の健康のために】大豆の栄養素とレシピ3選

管理栄養士の考察

たんぱく質は「種類」にも意識を向けよう!

たんぱく質は「動物性」と「植物性」がありますが、どちらにも特徴があります。大豆製品などの植物性たんぱく質は、食物繊維も多く含まれる点や脂質が少ない点が魅力であることに比べて、肉や魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質は脂質やコレステロールも多く含みます。 一方、必須アミノ酸が人の身体にとって望ましい量に対してどれくらいの量が含まれているかを示す『アミノ酸スコア』という数値で見ると、植物性たんぱく質より動物性たんぱく質の方が優秀だとされています。筋肉作りに欠かせないアミノ酸も、動物性食品に多く含まれています。 つまり、どちらにも異なる特徴があるため、一方に偏るのではなくどちらもバランス良く摂取することが大切なのです。動物性たんぱく質は、摂取しすぎてしまうことが多いため、意識的に植物性たんぱく質を含んだ食事内容に置き換えることも大切です。 【ダイエットに効くのはどっち?】牛乳と豆乳の栄養成分を徹底比較!

まとめ

今回の研究は、対象が閉経後の女性だったことや、たんぱく質以外の他の食品の摂取に関して考慮していないことから、結果の解釈が難しいと研究者はコメントすると同時に、『食事ガイドラインにおいて、たんぱく質の総量だけでなく種類にも焦点を当てることが必要ということを裏付けている』とコメントしています。 肉料理や魚料理など、動物性たんぱく質はメインとして食卓に並ぶ機会が多いと思いますが、意識的に、納豆や豆腐などの植物性たんぱく質も同時に取り入れる機会を増やすことで、健康へとつながっていくかもしれません。 【参考文献】 ・国立健康・栄養研究所/植物性たんぱく質は女性の認知症死亡リスクを下げる? (https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=74443&-lay=lay&-Find.html) 閲覧日:2021年3月3日 ・厚生労働省/e-ヘルスネット/良質なたんぱく質 (https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html) 閲覧日:2021年3月26日

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著者

佐藤 友香(管理栄養士)

1992年生まれ、福島県出身、東京都在住。1児の母。大学卒業と同時に管理栄養士の資格を取得後、保育園にて勤務。離乳食、乳幼児食、アレルギー食に携わり、栄養相談や食育活動も得意分野。現在はフリーランスとして栄養に関するコラム執筆を中心に活動。


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