【最新文献から学ぶ!】肉を食べない人は骨折のリスクが高まる?
最近の研究で、肉を全く食べない人は骨折のリスクが高まることが明らかになりました。今回は丈夫な骨を作るために、必要な栄養素について管理栄養士の視点で解説していきます。
2022年03月30日
肉を食べないと骨折のリスクが増大!?
カルシウムが丈夫な骨を作るということを知っている方は多いですよね。今までの研究では、やせている人は股関節骨折のリスクが高く、カルシウムとたんぱく質の摂取量が少ないと、骨の健康状態が悪くなるという結果が出ていました。 しかし最近の研究では、肉を一切食べない人は肉を食べる人と比べて、股関節骨折のリスクが高く、特に肉を含めた動物性食品を一切とらないヴィーガンは、脚の骨折やその他の主要部位の骨折リスクが高いことが明らかになりました。 この研究では、適正な体重を維持したうえで、穀物と野菜などの植物性食品をベースに、カルシウムとたんぱく質を十分に摂る必要があると示されています。
骨折は予防できる?
丈夫な骨を作ることが骨折の予防につながります。骨折は、外部からの刺激によって起こることもあれば、特定の部位に連続して負荷がかかることにより、起こることもあります。 骨は、絶えず吸収と形成を繰り返しています。古くなった骨は破骨細胞により溶かされ、カルシウムは血液中に出ていきます。一方で、骨芽細胞が骨の溶けた部分にカルシウムをくっつけて骨を形成します。骨の吸収が形成を上回ると次第に骨は弱くなります。 骨密度は男女共に年齢を重ねるごとに減少し、その減り方は男性より女性のほうが大きく、特に女性は20歳ごろにピークを迎え、以降は徐々に減り、閉経を迎える50歳頃には急速に減少すると言われています。骨折の予防の1つとして、骨密度を高めておくことが大切です。
骨密度を高めるためには?
丈夫な骨を作るためには、カルシウムとたんぱく質に加えて、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやビタミンKを摂ることが重要です。次のような食材を積極的に摂るように心がけましょう。 <カルシウムを多く含む食材> チーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、 木綿豆腐、厚揚げ、高野豆腐などの大豆製品、 小魚、小松菜、チンゲン菜、切り干し大根などの野菜、海藻類 など <ビタミンDを多く含む食材> 鮭、さんま、メカジキ、卵、干し椎茸、きくらげ など <ビタミンKを多く含む食材> 納豆、卵、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜 など 一方で、インスタント食品やスナック菓子、炭酸飲料、肉加工品、漬物や干物などは、リンや塩分を多く含み、カルシウムの吸収を妨げるため、食べ過ぎには注意が必要です。 【意外な関係性】朝食をしっかりと摂ることで快眠につながる?
骨密度と合わせて『骨質』も大事!
骨の強さは「骨密度」とあわせて「骨質」も影響します。骨の質が悪いと、骨密度が高くても、骨折のリスクが高いと言われています。骨はコラーゲンというたんぱく質が束になり骨組みになっています。このコラーゲンの束にカルシウムなどのミネラルが均一に沈着することで丈夫な骨を作ります。 骨組みであるコラーゲンの質が悪ければ、強い骨を作ることはできません。コラーゲンのよい補給源には肉や魚、卵などが挙げられます。これらの食材と一緒にビタミンB6、ビタミンB12、葉酸を一緒に摂ることで、骨質を支えるコラーゲンの劣化を防ぎ、丈夫な骨組みを作ることができるのです。 <ビタミンB6を多く含む食材> レバー、マグロ(赤身)、ニンニク、ごま など <ビタミンB12を多く含む食材> サンマ、しじみなどの貝類、レバー など <葉酸を多く含む食材> のり、枝豆、モロヘイヤ、緑茶 など 【春と冬で特徴が違う?】定番野菜「キャベツ」の魅力に迫る!
まとめ
肉などの動物性食品を一切食べないヴィーガンが骨折のリスクが高い背景に、肉や魚、乳製品、卵から摂れる栄養素の不足が考えられました。骨折を予防するためには、カルシウムを多く含む乳製品だけではなく、肉や魚、野菜などをバランスよく食べることが大切です。 【参考文献】 ・リンク・デ・ダイエット/栄養/肉を食べない人、骨折のリスク上昇のおそれ(https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=73452&-lay=lay&-Find.html) 閲覧日:2021年2月1日 ・e-ヘルスネット/健康用語辞典/身体活動・運動/骨密度(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-027.html) 閲覧日:2021年2月1日 ・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会/骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版(http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf)閲覧日:2021年2月3日
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著者
酒井 葉子(管理栄養士、東京糖尿病療養指導士)
幼少期にアトピー性皮膚炎で悩み、身体の内側から見直す必要性を感じて管理栄養士に。大学卒業後は、給食管理業務や医療機関での栄養指導に携わり、現在は保健指導やコラムの執筆に従事。食を通して、充実した毎日のサポートを行ってまいります。