【最新文献から学ぶ!】2kgやせるだけで2型糖尿病リスクが減る?
生活習慣病と言えば2型糖尿病を思いつく方もいらっしゃるかもしれません。2型糖尿病の発症率は加齢や家族歴も関係しているものの、そのほかに生活習慣が大きく関与しているといわれています。その中で、イギリスの大学で発表された研究結果とともに、2型糖尿病の発症を促す危険因子を生活習慣の中から3つ紹介したいと思います。
2021年02月20日
日本人で2型糖尿病になっている方は多い?
2型糖尿病とはどんな病気?
2型糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働きが低下してしまい、その結果、高血糖が慢性的に続く病気です。放置すると網膜症、腎症、神経障害など合併症を引き起こす可能性があると言われています。
日本の糖尿病の実態に迫る!
令和元年に厚生労働省が国民に調査した結果では、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性で19.7%、女性では10.8%でした。この「糖尿病が強く疑われる者」とは、長期的な血糖コントロール状態が分かるヘモグロビンA1cが6.5%以上、又は現在糖尿病治療を受けている者としています。 過去10年間を比べても、男女とも有意な増減は見られませんでしたが、性別でみると女性より男性の割合が高く、年齢別でみると、年齢が高い層で割合が高い結果となりました。 つまり、日本の糖尿病の実態は、ここ最近で顕著に変わっていないものの、男女ともに年齢が上がるほど注意しないといけない生活習慣病の1つであることが分かります。
「2、3キロの減量でも糖尿病リスクは約半減」最新文献を簡単に要約!
研究対象者は?
イギリスの大学病院などが2型糖尿病予備群の1000人以上を対象に行った研究です。
研究結果を要約
「2~3kg減量し、2年間身体活動を増やすなど、適切なライフスタイルの変更を支援することにより、糖尿病予備群の人が2型糖尿病に移行するリスクが40~47%減少した」と報告されました。 つまり、一時的に無理な減量をするのではなく、健康的な生活習慣を根付かせることが糖尿病リスクを下げる効果的な方法であると考えられます。次に生活習慣に関連する糖尿病の発症危険因子をいくつか紹介したいと思います。
生活習慣にまつわる2型糖尿病の発症危険因子を3つ紹介
危険因子:肥満
肥満度が高いほど、2型糖尿病の発症率が高くなる傾向があるとされています。そこで、肥満度を示す指標としているのがBMIです。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められます(身長はcmではなくmで計算します)。日本肥満学会の定めた基準では、BMIが25以上で「肥満」とされるため、BMI25未満を目指すのが理想です。 しかし、無理なダイエットをして一時的にBMIを25未満にすれば、糖尿病の発症率が低くなるのかと言えば、そうではありません。先ほど紹介した国民健康・栄養調査からも分かるように、年齢を重ねるにつれて糖尿病の発症率は上がっています。従って、長期的に体重管理のできる無理のない生活習慣の習得が必要となってきます。
ポイント2:食事内容
過食や脂肪の過剰摂取などの食生活の乱れは、2型糖尿病はもちろん、虚血性心疾患や脳卒中などの他の生活習慣病の発症を起こす可能性が考えられます。主食、主菜、副菜の食事を心がけることで、自然と栄養バランスも整ってきます。そのうえで、主菜には肉類中心ではなく、魚類や大豆製品をうまく活用し、調理法も揚げ物ではなく、蒸し物や焼き物など工夫することで、脂肪の過剰摂取を防ぐことができます。 その他、果物(果糖を含む)は一定量まで糖尿病に影響はないとされていますが、ショ糖などの甘味をつけたジュース類は、血糖値やメタボリックシンドロームのリスクを増加させると言われているため、注意が必要です。 【未来の自分も健康で!】若いうちからの対策が重要な「ロコモ」について解説
ポイント3:身体活動量
身体活動量は、特別な運動量以外にも普段の生活の活動量も含みます。これらの身体活動量が少ないと、普段の食事量でも太ってしまい、結果肥満につながり、2型糖尿病の発症リスクを上げてしまう可能性があります。 また、2型糖尿病になった方には、30分に一度軽い運動をすることで、座位を維持した時よりも食後高血糖が改善すると言われています。 先ほど紹介した研究結果にもあるように、無理なく生活スタイルを改善することで、身体活動量が増え、2型糖尿病の発症率を減らすことにつながるかもしれません。 【管理栄養士のおすすめ食材】牛乳を飲んで「脱メタボ」生活を始めよう!
まとめ
今の生活スタイルで改善できることを探そう
今回、イギリスで発表された最新文献を紹介しつつ、生活習慣の中での2型糖尿病の発症危険因子を紹介しました。今まで無理なダイエットを繰り返して悩まれている方も、この機会に生活スタイルを見直し、長期的に継続できる改善法を見つけてみてはいかがでしょうか。 【参考文献】 「2-3キロの減量でも糖尿病リスクは約半減」(国立健康・栄養研究所) https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=73324&-lay=lay&-Find.html (アクセス日:2020年12月22日) 「国民健康・栄養調査(令和元年)」(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf (アクセス日:2020年12月26日) 「糖尿病」(厚生労働省) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-048.html (アクセス日:2020年12月27日) 「糖尿病診療ガイドライン2019」(厚生労働省) http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4 (アクセス日:2020年1月23日)
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著者
ウィリアムズ 早苗(管理栄養士)
大学卒業後、食品会社にてメニュー開発を経験。現在はオンラインでの栄養指導や、メディアでの執筆をしています。私たちが抱えている、食や健康に関しての問題点に注目し、それに向けての解決策の糸口となるようなお手伝いが出来る事をモットーにしています。