【研究結果から明らかに!】健康情報に目を向けると、無意識に食習慣が改善する?
みなさんはスーパーで買い物をする時、自身の健康について考慮して商品を選んでいますか?英国バース大学などの研究により『「1日に5つの野菜や果物を食べよう」などといった一般的な公衆衛生メッセージは、個人の健康状態に合わせた具体的なアドバイスよりも、食習慣への意識を変えるのに有効』という報告があるようです。今回は、この研究の内容と結果について詳しく見てみましょう。
2022年06月04日
どんな研究が行われた?
研究の目的
人々の健康への意識や認知度の向上、健康的な食習慣を促すことを目的として行われました。
研究の方法
今回の研究では、低所得の300人を対象に、自由に買い物をするように依頼した時、事前に『一般的な健康情報を受け取った人』、『個人に合わせた具体的な健康情報を受け取った人』そして『全く情報を受け取らなかった人』の3つの条件に分けた時、それぞれが選んだ食品の内容に「差」が出るのか、というものです。 『具体的な情報』とは、糖尿病や心臓病の発症リスクに関する情報と、そのリスクを最小限に抑えるための食事や健康に関する分かりやすい情報です。 また、選んだ食材や商品の「差」というのは、いわゆる「健康的な」食品か、あるいは「不健康な」食品か、ということです。
研究の結果
結果は意外にも、『個人に合わせた具体的な健康情報を受け取った人』よりも『一般的な健康情報を受け取った人』のほうが、平均で20%総脂肪・不飽和脂肪が少なく、「不健康な」商品も34%少なかったそうです。また、前者と『全く情報を受け取らなかった人』との「差」も特に見られなかったとのことです。 一見、『個人に合わせた具体的な健康情報を受け取った人』が1番「健康的な」商品を選ぶように思いますよね。ですがそうならなかった理由について、研究チームでは、『個人に合わせた具体的な健康情報を受け取った人』のほとんどが、自分の健康状態が想像よりもよかった場合に、健康について意識しなくても大丈夫だという考えにさせてしまったことが原因ではないか、ということです。
管理栄養士の考察
長期的な健康を意識しよう!
近年、より健康的な食生活を送るためのアプローチとして、個人に向けたアドバイスやプログラムを組むような取り組みが増えています。自身の健康状態と向き合い、的確で分かりやすいアドバイスをもらうことは、健康的な身体作りにおいて、意思を強く持って取り組むことのできる人に対してとてもよいアプローチだと感じます。 しかし、「不健康な」食生活をしている自覚があるにも関わらず、想像よりも健康状態が悪くなかった場合、そのままの「不健康な」食生活を続けていても問題ないと感じてしまうことで、将来的に健康に害を及ぼす可能性を高めてしまう恐れもあります。 「自分は健康だから、食生活は意識しなくても大丈夫」ではなく、誰にでも当てはまるような、いわゆる「一般的な公衆衛生メッセージ」にも目を向けて、日常的に「健康的な」食生活を意識して、行動に移すことが大切だと感じます。
公衆衛生メッセージに目を向けよう!
例えば、厚生労働省では、国民運動の1つとして「スマート・ライフ・プロジェクト」というものを行っています。『健康寿命をのばしましょう。』というスローガンの中で、運動、食生活、禁煙の3つの分野について呼びかけているのもです。 食生活分野では、『1日あと70gの野菜をプラス』というキャッチフレーズを掲げ、「野菜不足をあとトマト半分で補う」「70gの不足は温野菜がおすすめ」「朝食は抜かずに朝カフェをしよう」「手軽に食べられるおにぎりの朝食」といった内容です。 意識的に目を向けてみると、他にもこういった公衆衛生メッセージは意外と多く存在するものです。
まとめ
少しの意識で健康的に
今回の研究報告では、自分が思っていたよりも健康状態が悪くなかった場合に、「不健康な」食事の選択をすることのハードルを下げてしまうということが分かりました。 自分の健康と常に向き合いストイックに健康意識を高めることが難しい場合、スマート・ライフ・プロジェクトのような一般的で分かりやすいメッセージにも目を向けてみてはいかがでしょうか?より手軽に、健康な生活を送るためのヒントが得られるかもしれません。 【参考文献】 ・国立健康・栄養研究所/一般公衆衛生メッセージが食行動改善に最も効果的 (https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=72436&-lay=lay&-Find.html) 閲覧日:2020年9月30日 ・欧州経済レビュー/健康的な食生活の推進:低所得者を対象とした実験 (https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0014292120301793?via%3Dihub) 閲覧日:2020年10月29日 ・厚生労働省/健康寿命をのばそう!/スマート・ライフ・プロジェクトについて (https://www.smartlife.mhlw.go.jp/about/) 閲覧日:2020年10月29日
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著者
佐藤 友香(管理栄養士)
1992年生まれ、福島県出身、東京都在住。1児の母。大学卒業と同時に管理栄養士の資格を取得後、保育園にて勤務。離乳食、乳幼児食、アレルギー食に携わり、栄養相談や食育活動も得意分野。現在はフリーランスとして栄養に関するコラム執筆を中心に活動。