【何とかしたい!】生理前の不調を緩和する食生活のポイント
月経前はなぜかイライラしたり、眠くなったりと、毎月何らかの不調を感じることはありませんか?もしかしたら、それは月経前症候群かもしれません。今回、管理栄養士がこの月経前症候群を詳しく説明するとともに、その対策やおすすめレシピを紹介したいと思います。
2023年10月20日
月経前症候群について
原因は?
原因は未だにはっきりと分かっていませんが、現在は女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。 排卵のリズムが整っている女性の場合、排卵から月経までの間にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。後半になるとこれらのホルモンが急激に減少し、脳内ホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことで、月経前症候群が起こると考えられています。 もちろん、脳内ホルモンや神経伝達物質はストレスからも影響を受けるため、女性ホルモンだけが原因とは言い切れません。
どのような症状?
眠気、イライラ、不安などの精神的な症状や、食欲不振・過食、めまい、のぼせなどの自律神経症状の他、身体的には頭痛、腹痛、むくみなどがあります。 以上から分かるように、心や身体へ様々な種類の不調が生じますが、月経が始まると、これらの症状が鎮まっていくのが特徴です。 【もう悩まない!】生理前に体重が増える原因と対処法3つ
月経前症候群と上手に付き合うポイント5つ
ポイント1:アルコールやカフェインをなるべく控えよう
アルコールは主に肝臓で代謝されますが、女性ホルモンのエストロゲンは肝臓のアルコール代謝を抑制すると言われています。つまり、女性ホルモンの分泌が多い月経前にアルコールをとることで、二日酔いや悪酔いになりやすくなり、さらにむくみやすくなります。 また、カフェインは一時的に脳を興奮させる働きがある一方、イライラやむくみが生じやすくなります。
ポイント2:バランスのよい食事を心がけよう
主食、主菜、副菜の定食スタイルの食事をすることで、栄養バランスが整いやすくなります。バランスのよい食事は、健康な身体を作り、身体の調子を整えてくれます。特に月経前症候群の対策としては、カルシウムやマグネシウムを積極的に摂取することが大切になってきます。 カルシウムやマグネシウムは神経の伝達に必要な栄養素のうちの1つです。これらの摂取は月経前症候群の症状を軽減することにおそらく有効であるという研究結果もあります。 一方、厚生労働省が国民の食生活の調査をしたところ、女性20歳以上の平均1日のカルシウムの摂取量は500mgでした。これは、厚生労働省が女性18歳以上65歳未満に推奨する650mgよりも少ない量となりました。また、マグネシウムも258mgと、同様に厚生労働省が推奨する270mg~290mgよりも少ない量でした。 これらのミネラル同士は、互いに影響しながら吸収されるために、バランスよく摂取する必要があります。
ポイント3:喫煙(受動喫煙)をなるべく控えよう
喫煙や受動喫煙は女性ホルモンのバランスを崩す上に、血行も悪くなります。また、カルシウムの吸収を阻害することも分かっています。
ポイント4:ストレスを解消しよう
月経前症候群は、ストレスなどの精神的な負担も影響しています。趣味や好きなことに時間を費やし、自分が心地よいと思える環境を整えましょう。また、定期的に有酸素運動など、身体に負担にならない程度に、適度に身体を動かすことも、リラックス効果があります。 【鎮痛剤に頼らなくても◎】生理痛をやわらげる秘訣とおすすめレシピ3つ
ポイント5:症状日記に記そう
日記帳などに自分の身体や心の不調をこまめに記すことで、不快な症状があらわれる傾向が自分なりに分かってきます。仕事など大事な予定を調整したり、心構えなど、自分に合った対処法を見つけることができるかもしれません。
月経不調症候群におすすめのレシピ3つ
レシピ1:春菊のごまあえ
カルシウムが豊富な春菊とマグネシウムが豊富な胡麻で、バランスよくカルシウムとマグネシウムを摂取することができます。調理時間も10分なので、忙しい時にも最適です。 ▶「春菊のごまあえ」のレシピはこちら
レシピ2:ひじきごはん
ひじきは、カルシウムもマグネシウムも豊富に含まれているのをご存じでしょうか。こちらも、ご飯に混ぜて炊くだけの時短レシピです。 ▶「ひじきごはん」のレシピはこちら
レシピ3:焼き麩とわかめのお吸い物
わかめは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富です。噛み応えもあるため、是非積極的に取り入れたい食材の1つです。 ▶「焼き麩とわかめのお吸い物」のレシピはこちら
まとめ
自分に合った対処法を見つけよう
今回、月経前症候群の詳細や対処法を紹介しました。今まで、何となく不調を感じていた方は、自分の体調や心の不調を理解し、ライフスタイルを見直すことで、自分にあった対処法を見つけるきっかけとなるかもしれません。もちろん、症状がひどい時は、迷わずに医療機関に相談しましょう。 【参考文献】 「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」(公益社団法人日本産科婦人科学会) http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13 (アクセス日:2020年9月20日) 「節度ある適度な飲酒とは―飲酒の功罪―」(丸山勝也.醸造協会誌2010第105巻第7号432-439) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/105/7/105_432/_pdf (アクセス日:2020年9月20日) 「カルシウム」(国立健康・栄養研究所) https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail39.html#1 (アクセス日:2020年9月24日) 「マグネシウム」(国立健康・栄養研究所) https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail33.html (アクセス日:2020年9月24日) 「国民健康・栄養調査 平成30年」(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000635990.pdf (アクセス日:2020年9月24日) 「食事摂取基準2020年」(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf (アクセス日:2020年9月24日)
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著者
ウィリアムズ 早苗(管理栄養士)
大学卒業後、食品会社にてメニュー開発を経験。現在はオンラインでの栄養指導や、メディアでの執筆をしています。私たちが抱えている、食や健康に関しての問題点に注目し、それに向けての解決策の糸口となるようなお手伝いが出来る事をモットーにしています。