【7月14日はゼリーの日】意外と知らない「ゼラチン」「寒天」「アガー」の違いって?
7月14日は「ゼリーの日」って知っていますか?暑くなると食べる機会が増えるゼリー。今回はゼリーの日にちなんで、似ているようで全く違う、ゼリー作りに欠かせないゼラチン、寒天、アガーの特徴について説明します。
2020年07月14日
「ゼリーの日」の由来とは?
ゼラチンの記念日と同じ
ゼリーの日は、日本ゼラチン・コラーゲン工業組合が、ゼリーを食べる美味しさや作る楽しさを知ってもらうのを目的に、ゼリーを作るときに欠かせないゼラチンの記念日である7月14日をゼリーの日に制定しました。
7月14日はフランス革命の記念日
そもそも、なぜ7月14日が「ゼラチンの日」なのでしょうか。その理由は、フランス菓子や料理にゼラチンがよく使われていることから、日本ゼラチン・コラーゲン工業組合が、フランス革命の記念日と同じ7月14日をゼラチンの日に制定しました。ゼラチンのことをもっと身近に感じて欲しいという想いが、この記念日に込められています。
ゼリーに使う凝固剤は主に3種類
ゼリーは液状のものに凝固剤を加えて固めたものです。主に使われる凝固剤はゼラチン、寒天、アガーです。いずれも液体を固めるために使いますが、特徴がそれぞれ違いますので違いを知っておくとゼリーを作るときに役立ちますよ。
洋菓子に大活躍!ゼラチンの特性
たんぱく質の一種であるコラーゲンから作られる
ゼラチンは牛や豚の骨や皮から抽出される、コラーゲンというたんぱく質から作られます。ゼラチンで固めたものは食感がやわらかく、ぷるぷるとした弾力があります。 【梅パワーはやっぱりすごい!】夏にうれしい梅の魅力とおすすめレシピ
溶ける温度と固まる温度
ゼラチンの使用量は液体の量に対して2〜3%です。たんぱく質が主成分であるゼラチンは、60℃以上に加熱すると、たんぱく質が変性し固まらなくなってしまいます。そのため、溶かすときには50℃〜60℃と沸騰させないようにすることがポイントです。また、固まる温度は20℃以下のため冷蔵庫で冷やし固めます。
一部の果物を使う時には注意
パイナップルやキウイフルーツなど、一部の果物にはたんぱく質分解酵素が含まれているため、生の状態で加えるとゼリーが固まらなくなってしまいます。たんぱく質分解酵素を含む果物を使うときには、果物を加熱してから使うことで、酵素の働きを失活させることができます。また、缶詰であれば製造工程で熱が加えられていますので、そのまま使っても大丈夫です。 【夏の定番フルーツ】スイカの栄養とおすすめレシピ2つ
気温によっては溶けてしまうことも
ゼラチンで固めたものは25℃以上になると溶けてしまうため、冷蔵庫から出したら早めに食べるようにしましょう。また、板ゼラチンを水で戻す時は氷水を使いますが、これは戻し水の中にゼラチンが溶け出さないようにするためです。
ゼラチンを使ってゼリーを作ってみよう!
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和菓子に活躍!寒天の特性
海藻から作られる
寒天はテングサやオゴノリなどの海藻から作られていますので、食物繊維が豊富です。ゼラチンのように弾力はなく、食感は固く、口に中で砕けやすく、みつ豆やようかんなど和菓子によく使われます。
溶ける温度と固まる温度
寒天の使用量は液体の量に対して0.5〜1.5%と、ゼラチンに比べて少量で固めることができます。食物繊維が主成分のため、90℃以上でよく煮溶かしてあげる必要があります。固まる温度は30〜40℃と常温で固まります。また、固まった後は60℃以上にならないと溶けることはないため、常温に置いておいても大丈夫です。
酸味のあるものは煮溶かした後に加える
寒天をよく煮溶かす前に、果物や果汁など酸味のあるものを加えると、寒天の固める力が弱まってしまいます。酸味のあるものを使用する場合は、寒天をよく煮溶かした後に火を止めて、粗熱をとってから加えましょう。また、砂糖や牛乳などを使用する場合も同様に、寒天を溶かして粗熱をとってから加えます。
寒天を使ってゼリーを作ってみよう!
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幅広い用途が魅力!アガーの特性
海藻やマメ科の種子から作られる
アガーは食物繊維や多糖類が主成分です。プルッとした食感で、ゼラチンと寒天の間くらいの硬さが特徴です。固めた時の透明度が3種類の中で一番高く、ゼリーやプリン、ムース、水ようかんなど幅広く使用することができます。
溶ける温度と固まる温度
アガーの使用量は液体の量に対して1〜2%です。溶ける温度は90℃以上、固まる温度は30〜40℃と寒天の性質と似ています。しかし、寒天に比べて固まり始めるまでが早いため、容器に移す前に固まり始めてしまうことがあります。加熱後に手早く作業できるように、事前に容器やお皿を準備しておきましょう。
ダマになりやすい
アガーは粒子が細かいため、液体に入れるとダマになりやすいです。そのため、あらかじめ砂糖と混ぜ合わせておいてから使うことで、ダマになるのを防ぐことができます。砂糖を使わない場合は、液体をかき混ぜながら少しずつ加え、均一に溶かしてから加熱しましょう。また、寒天と同じく酸味のあるものは煮溶かしてから加えましょう。
アガーを使ってゼリーを作ってみよう!
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まとめ
作りたいゼリーによって使い分けよう!
これから梅雨が明けて本格的な夏がやってくると、涼しげなゼリーがさらに美味しく感じられる季節になりますね。ゼラチン、寒天、アガーとそれぞれ食感や弾力が異なりますので、自分好みのゼリーを見つけてみるのも楽しそうですね。 【参照】 ・総務省統計局、なるほど統計学園、「7月14日 ゼリーの日」 (https://www.stat.go.jp/naruhodo/c3d0714.html) ・日本ゼラチン・コラーゲン工業組合「ゼリーの日って知ってる?」 (https://www.gmj.or.jp/memorial_day/jelly_day.html) ・日本ゼラチン・コラーゲン工業組合「ゼラチンの日って知ってる?」 (https://www.gmj.or.jp/memorial_day/gelatin_day.html) ※閲覧日:2020年5月20日(全て) ・安原安代、柳沢幸江(著)「調理学 健康・栄養・調理(改訂第2版)」アイ・ケイコーポレーション(2016)
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著者
河村 桃子(管理栄養士)
管理栄養士として病院やクックチル(食材を調理加熱したあとに急速に低温冷却しチルドの状態で管理する調理法)のコンサルティング、栄養専門学校講師の業務に携わる。現在はフリーランスの管理栄養士として、「今日の食事で明日の自分は変わる」をモットーに、コラム執筆や特定保健指導、レシピ提案、食事講座など働く大人の食事サポートを行っている。