【あなたは大丈夫?】身近な食品の「カフェイン量」を知って過剰摂取を防ごう!
仕事や勉強など“もう一踏ん張りしたい!という時に、エナジードリンクを飲んで乗り切るなんてことをしていませんか?最近ではカフェインの過剰摂取による体への影響が問題視されています。そこで今回は、カフェインによる体への作用や、カフェインに対する海外での注意喚起などをご紹介します。
2023年10月25日
カフェインの基礎知識
植物由来の天然成分
カフェインは苦味を持つアルカロイド類の化学物質で、主にコーヒー豆や茶葉などに含まれている植物由来の天然成分です。カフェインはコーヒーや紅茶、お茶、ココア、チョコレートなど日常的に摂取する食品に含まれています。 また、コーヒーや茶葉から抽出したカフェインは清涼飲料水などに食品添加物(苦味料)としても使用されており、特に若者に人気のエナジードリンクにはカフェインを多く含んでいるものがあります。その他に、医薬品の成分としても使用されています。
カフェインの作用
カフェインの作用で代表的なのが覚醒作用です。コーヒーを飲むと眠気が覚めて頭がスッキリするのは、カフェインが脳内の中枢神経を刺激することによる覚醒作用によって起こります。また、コーヒーを飲むとトイレが近くなるのはカフェインの利尿作用によるものです。その他に疲労回復作用や胃酸分泌作用、血管拡張作用、交感神経刺激があります。 【脂肪燃焼に効果あり!?】「コーヒー」は飲むタイミングが重要だった!?
カフェイン中毒に注意!
適量にカフェインを摂る分には問題ないのですが、カフェインを過剰に摂ってしまうとめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などといったカフェイン中毒の症状を発症することがあります。重篤な場合は意識消失や不整脈、心肺停止を引き起こし、稀ではありますが死亡するケースもありますので過剰摂取には注意が必要です。
食品に含まれるカフェインの量
日常的に摂取している食品に含まれるカフェイン量
抽出液100g中に含まれるカフェインの量です。(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より) ◎コーヒー:60mg ◎紅茶:30mg ◎烏龍茶:20mg ◎煎茶:20mg ◎玉露:160mg ◎ほうじ茶:20mg ◎玄米茶:10mg コーヒーにカフェインが多いイメージがありますが、玉露にはコーヒーの2倍以上のカフェインが含まれています。
エナジードリンクを飲む時は含有量をチェック
若い世代の方に人気のエナジードリンク(眠気覚まし用ドリンクも含む)は、1本(瓶)あたりカフェインが36〜150mg含まれています。ハードワークを乗り切るためにエナジードリンクを1日に数本飲んでしまうと、過剰摂取に陥る場合もありますので注意が必要です。飲む際は商品にカフェイン含有量が記載してありますので、どのくらい含まれているのかを確認しましょう。 また、エナジードリンクとお酒を一緒に飲むとカフェインの興奮作用がアルコールの酔いを覆い隠すため、お酒を飲み過ぎてしまう可能性があります。そして、アルコールとカフェインには利尿作用があるため脱水を起こしやすくなりますので、一緒には飲まないようにしましょう。 【お酒は太る?】ダイエット中に知っておきたいアルコール摂取のポイント3つ
カフェインの1日摂取量は?
日本では決まっていない
カフェインに対する感受性は個人差が大きく、健康に及ぼす影響を正確に評価することが難しいため、現状ではカフェインの1日摂取許容量(ADI)は設定されていません。 ※1日摂取許容量(ADI)とは、ある物質について人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のこと。ADIは、食品添加物や農薬等、食品の生産過程で意図的に使用されるものの安全性指標として用いられている。
国際機関のカフェインに対する注意喚起
妊娠中のカフェイン摂取について
WHO(世界保健機関)では、妊娠中は母親の血液からのカフェインの消失が遅くなるため、カフェインの過剰摂取は胎児の成長遅延、出生児の低体重、早産または死産と関連する可能性が示唆されており、妊婦はコーヒーの摂取量を1日3〜4杯までにすべきとしています。1日のカフェイン摂取量が300mgを超える妊婦に対しては、カフェイン摂取量を制限するように注意喚起しています。 また、欧州食品安全機関(EFSA)では妊婦の胎児に健康リスクを生じないカフェイン摂取量は200mg以下としています。
健康な成人は1日400mg以下
欧州食品安全機関(EFSA)では、健康を維持するために望ましい成人(妊婦を除く)のカフェイン摂取量を1日400mg以下と提言しています。コーヒーではマグカップ1杯(237ml)あたりのカフェイン量が約140mgですので、1日のカフェイン摂取量はマグカップ3杯に相当します。
子供のカフェイン摂取量
消化や代謝機能が未熟で、成長過程にある子供のカフェイン摂取量に対して、カナダ保健省では子供のカフェイン摂取上限量の目安を提示しています。 ◎4~6歳児:1日に45mg未満 ◎7~9歳児:1日に62.5mg未満 ◎10~12歳児:1日に85mg未満 ◎13歳以上の青少年:1日に2.5mg/kg体重未満 子供のカフェインに対する感受性は個人差があるため、カフェインの含まれる食品を摂取した後は注意が必要です。
まとめ
過剰摂取にならないために気をつけよう
カフェインの過剰摂取による体への影響は個人差があります。また、カフェインは全てが悪いというわけではありませんが、適量の範囲内で楽しむことが大切ですね。目覚めにコーヒーは欠かせないという人や、エナジードリンクで仕事を頑張っている人などそれぞれです。その中でも、自分が普段からどの位のカフェインを摂っているのかを把握しておくと良いでしょう。 【参照】 食品安全委員会ファクトシート 「食品中のカフェイン」 (http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf) ※2019年8月20日閲覧
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著者
河村 桃子(管理栄養士)
管理栄養士として病院やクックチル(食材を調理加熱したあとに急速に低温冷却しチルドの状態で管理する調理法)のコンサルティング、栄養専門学校講師の業務に携わる。現在はフリーランスの管理栄養士として、「今日の食事で明日の自分は変わる」をモットーに、コラム執筆や特定保健指導、レシピ提案、食事講座など働く大人の食事サポートを行っている。